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大きな冷蔵庫を買った

2021.06.16

CATEGORYお酒

お酒の品質はどこまで持つ?

 

 酒屋をやっておりますと、しばしば質問されるのが、

「人からお酒をもらったんだけど、どの位持ちますか?」

というもの。

 

 まず、これにお応えする前に、「日本酒の品質が悪くなる大きな原因」についてお話ししますと、

 

 

   1.光
   2.温度
   3.酸素/酸化

 

 

 が日本酒の大きな品質劣化の原因となります。

 

これを防ぐためには早い話、「もらったお酒を一度新聞紙に包んで、冷蔵庫で保管しておいて下さい。火入れのされたお酒であれば、2年くらいは問題ないかと思います」っていうのが、ざっくりとしたお答えになります。

 

 あえて「ざっくりと」と申したのは、この「品質保持」という言葉をどこまで厳密に捉えるか?によりけりだからです。
同じロットのお酒でも、今日飲んだお酒と10年後に飲んだものが全く同じ味という事はまず無いというべきで、それはビンの中で各種成分の化学反応が生じるからです。
なので、「味に対する印象が比較的同じと思える程度」というレベルの「持ち」ですと、先のようなお応えになります。

 

ただ、生酒ですと、一年で「良いも悪いも味の印象が変化」しますし、火入れのお酒でも3~5年を過ぎれば「気抜けした」印象が時間と共に強くなっていきます。

 

 

 

 

どれだけ酸化を防げるか?

 

 また、「お酒の封を切ったか否か」でも、品質保持には大きな影響があります。

 

 

 

 

 上図A.の、購入したばかりで封を切っていないお酒ですと、空気に触れる面積が小さく、また容器内に存在する酸素の量も少ないので、酸化しにくいというのは何となくご理解頂けるかと思います。

 

逆に、図B.のように封を切って、ある程度中身を呑んでしまった場合、酸素に触れるお酒の表面積は増加し、容器内の酸素量も増えますので、お酒が酸化してしまうスピードもより速くなります。

 

これ、ビン1本くらいの話でしたら可愛いものなんですが、数千 ~ 数万リットルとなる酒造メーカーのタンク保存の事となりますと、かなり話が変わってきます。

 

まず、温度管理という点で、タンクごと冷やす極めて大きな設備が必要となりますし、ある程度在庫がはけた状況(図B.の状態)での酸化は如何ともし難い部分があります。

 

これらを解消すべく昨今の日本酒蔵では、出来上がったお酒を即ビンに詰めて、冷蔵保管を行う・・・んですが、いずれにせよ膨大な面積の冷蔵庫が必要となります。

 

我らが白馬錦のありますここ長野県大町市では、そもそも温度が高くありませんし、消費スピードも速いので、お酒が劣化する前に次のシーズンになっていたのですが、昨今はこれらの要因が逆転し、平均気温が高い/消費スピードが鈍化したので、品質保持がとても難しくなってきたという事情があります。

 

 酸化・・・というよりは、お酒と空気が混じりますと、色々と味わいが柔らかくなるというメリットもあるのですが、そうは言っても長期貯蔵という観点からすれば、やはりどれだけ酸化を防げるか?という点が重要ですので、各酒造メーカーはこの問題に頭を悩ませている思います。

 

 

 

 

おっきい冷蔵庫を買った!

 

 

■ 中央やや右にいるのが常務です。 ■

 

 

 そこで白馬錦では2020年の3月に、長野県某所に大型冷蔵庫を建造!
これにより、特定名称のお酒の用意が整いし次第、即ビン詰めを行い、冷蔵管理を行う事が可能となりました。

 

言葉にすると「大きい冷蔵庫を購入しました!」という事になるんですが、我々のように小さい蔵元ですと、かなりの思い切りがないと、こういう大型投資はできません。

 

数年前は夏の猛暑での品質劣化にビクビクしておりましたが、昨年度からはこのあたりがかなりカバーできるようになりました。

 

弊社の純米吟醸「雪中埋蔵」は言うまでもありませんが、それ以外の特定名称酒につきましても、以前とは比べるべくもない程に保存状態が良くなりました。

 

 

白馬錦のお酒を召し上られる際は改めて、このあたりの違いを感じて頂ければ幸いです。