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気軽に高級そうに

2021.09.29

CATEGORY:オタク関連

一見シンプルだけど、結構手間がかかる

 

■ 日本酒業界でしばしば見かける、ちょっと高そうに見える酒瓶写真 ■

 

 

 前に投稿したブログの中で、会社の方から突然に「コースケ、お前インスタグラム担当な?」と言われても困っちゃうわー!という事を書いた。

写真のウデやセンスは一朝一夕で身につけられるものではないので、「せめて使うカメラだけでも良いものを・・・」ということで、心機一転、スマホを数年ぶりに新調した。

より詳細に言えばこの時、某林檎社「愛電話 12・玄人」を購入したのである。

 

 それまでレンズが一枚しかなく、ワンセグすらついていない安いスマホを使っていた身としては、まさに三~四世代くらいの性能差をしかと体験した次第。
ごく小さなカメラながらも生成される絵のボケ味とキレ、程よい発色の良さ、見た目のイメージと概ね合致する、映像エンジンによる味付けのウマさに舌を巻いた。
わざわざ「コンピュテーショナルフォトグラフィ」だなんて、舌を噛みそうな名称を付けるだけのことはある。

 

 とりわけ、「愛電話」のポートレートモードで写真を取れば、写真ゴコロがない僕のような人間でもアラ素敵!

何となくイケてる写真が簡単に撮れちゃうというのは、本製品の凄さと、裏で動いている処理の膨大さを物語っている。

(購入後にワイワイと写真を撮りまくっていたら、本体がチンチンに熱くなったのでビックリした。どんだけ処理にリソースを割いているのだろう?)

 

しかし、「愛電話」のポートレートモードを使ってゆく中で、その背景と被写体との境目に生じるボケ味にちょっと疑問を持つことがあった。
あくまでレンズの力によるボケ味ではなく、コンピューターの画像判断によるボケ味は時に、「あれ?何でこんな部分にボケ味が生じるんだ?」と思う事が何度かあったので、そこに納得がいかなくなったコースケはそれ以降ポートレートは使わなくなり、いわゆる「ノーマルモード」のみでSNS用の写真を撮影した。

 

 

それから暫くして。

 

 

 何となくネット上の写真を見ていたところ、ちょっとショッキングな写真を見かけた。

こちらで紹介されている、「iPhone Photography Awards 2019」で入選した、Yoichi Sato氏による、凛とした佇まいのフクロウ写真がソレである。

記事中でも指摘のあるように、「よっぽどセッティングして撮影の瞬間を待っていたんだろうな」と思っていたら、何と道の駅で昼間に撮影した写真との事。 マジか!

 

普通のカメラでこの写真を一発で撮ろうと思うと、ノイズに強い高級なカメラを用意し、真っ暗な室内で、向かって左から程よく拡散しているライトを当てて、ブレを出さないように撮らなければならない(多分)。
しかも、「フクロウ様がどういう動きをするか分からない」という前提の中で、だ。

 

だが、記事のフクロウ写真は、「愛電話のポートレートで撮ったんですよー」といった気軽さで撮影されており、考えられる環境設定の難しさとのギャップには甚だ疑問符がつく。「そんな簡単にこの絵が撮れるモンなの?」と。

しかし、ここでハッ!と、愛電話のポートレート/ステージ照明モードの内部処理について思いがよぎる。

 

愛電話のポートレート/ステージ照明モードはその処理を分解して考えてみると、

 

 

 1.LiDARスキャナにより奥行き情報を確保。これにより背景と被写体との区分についての見当素材を取得する。
 2.取得した背景と被写体との境界線情報に対し、アルファチャンネル(透過度)の濃淡を含めたうえでマスキングし、背景と判断した部分を”黒く塗って”いる。
 3.先に取得した奥行き情報を参照し、ボケ味を加えるべき部分に対して段階的にぼかし処理を加えている。

 

 

 を同時進行で処理して機能を実現している、と言えるだろう。

 

何やらムツカシイ事をあーだこーだと言っているが、これを酒屋目線で捉えるとつまり、「いかにも高級そうな佇まいの酒瓶写真が簡単に撮れるのではないか?」という可能性を示唆していることに気が付いたワケである。

 

と、いうわけで、実際に酒瓶をテスト撮影してみた。

 

 

 

 

 

ほぼ一発で手間省き

 

■ 今回は廃盤となった旧・白馬錦(普通酒)にお越し頂いた ■

 

 

 まずはこんなよーな写真を仮で撮る。
フレーミングを決めた後で、撮影モードをポートレート/ステージ照明にしてから再度シャッターを切ると・・・

 

 

 

 

 

 

YYYEEEESSSSS!!

 

いかにも「思わせぶりで高級そうな」絵が撮れた。

 

写真中にもあるように、映り込んでしまった撮影者だとか色合いだとか、案外とポートレートは被写体との距離感がシビアだとかと言った課題なり修正点といった部分はあるものの、「本当ならかなりのセッティングが必要なものでも、ポートレート/ステージ照明モードだと、かなりの所まで踏み込んだ重厚感ある写真が撮れる」ということが(ある程度)分かった。

 

 

何やらまとまりがないが、要するに愛電話のポートレート/ステージ照明モードで写真撮影すると、

 

 

 ・背景を上手いこと黒く塗り潰してくれるので、思わせぶりな写真も(ある程度までは)簡単に撮れる。
 ・背景を”黒く塗り潰す”ので、ノイズが乗ることは(ほぼ)無い。
  結果的に、より写真全体のキレ味に貢献する。
 ・面倒な用意と加工を要するこれら一連の流れを、ワンショットで実現できるスゴさと手軽さ。

 

 

 という事である。

 

写真ネタに難儀している同業者の方で、愛電話をお持ちの方は一度お試しアレ。

 

 

 

酒造り