若かったし。
2021.03.05
CATEGORY:日常
・2016年に制作した、白馬錦「ひやおろし」ポスター
あれはそう、今から10年程前のハナシになるでしょうか・・・。
当時のコースケは営業兼配送係という事で、お酒の注文が入ったら、各お店へ納品するという事をやっておりました。
そんなこんなで、熱燗が恋しい、ある秋口の午後。
スーパーのお酒売り場には当然ですが、秋限定の色々なお酒が所狭しと並んでいます。
特に商品ポスターなどは紅葉を強くフィーチャーしており、売り場は真っ赤に染まっています。
しかし、どのポスターをとっても、「みんな一緒じゃないか!」って思ったんですね。若かったし(笑)。
なるほど、紅葉だ秋刀魚だマツタケだと、秋を連想させうるアイコンには限りがありますし、どうしても秋限定を謳う以上、やれることにも限度というものがある。
ただ、何というか、「もう少し他に何かあってもいいじゃないか?」と思ったんですね、その時のコースケは。若かったし。
んで、ここでコースケのちょいワルな心に、妙な火が点きましてですね。
こー、何と言いますか、とにかく「アバンギャルドな事をしてやろう」と思った訳です。
そもそも論として、お酒のポスターに必要な要素というのは・・・
1.どこのメーカーか?
2.どんな味わい/酒質なのか?
3.どんな外観なのか?
4.売り文句/決めセリフ
あと、盛り込んだ方がいい or 法律的に必要な内容として・・・
5.どんなコンセプトなのか?
6.値段は幾らなのか?
7.WEBやSNSなどのアドレス
8.製造者/販売者の情報、法令関係など、条項文の記載
といったものがあるかと思います(あくまでシロウト考えですが)。
法律的な事を除けば早い話、「パッと見て飲みたくなる」「見た目がカッコイイ」といった要素が強ければOK、というのが正直な所でしょう。
・・・で、結局、コースケが一体何をしたかと申しますと、今風に言えば「ティザー広告」ってヤツをよく目にする時代になっていたので、一度くらい白馬錦でもソレをやってみてもイイんじゃないか?と思ったワケです。
そんなこんなで、社長に事がバレる前に 出来上がったポスターはコチラ!
・2010年に制作。写真撮影時に用いた、赤いセロファン紙が全体の色調に強い影響を与えている。
実はこのポスター、日本酒のポスターとしては(実質的に)禁じ手とも言える、「酒瓶の横置き」をしてあります。
何が禁じ手かと言いますと、日本酒は基本縦書き文字のラベルなので、瓶を横にすると、文字の可読性がイッキに低下するから禁じ手なのです。
あと、自動車業界の”暗いなかで車体を撮影したポスター”って、それだけでカッコイイんですが、そのあたりを日本酒の世界にも盛り込めないものだろうか?という思いもありまして、こんなよーなカンジのポスターに仕上がりました。
・・・さて、そんなこんなで、反響はどうだったかというと、
特 に な し 。
「ソレが何であるか把握できなかった」からなのか、特に反響らしい反響もなく。
「誰かから怒られるかな?」と思っていましたが、そういう事も無く。
ごく親しい方からは「あれ、かっこいいじゃん」と言って頂けた部分もありましたが、全般的にはあまり反応がなかったので寂しい限り。ううむ。
言うまでもありませんが、商品ポスターというものは大なり小なり、作者の思いが込められたものです。
製造者がポスターをも制作するというケースはそんなに多くなく、恐らくは商品の製造者とデザイナーのやりとりからポスターが生まれるケースが大半ではないかと思います。
そういう状況下にあって、日本酒のポスターというものは目にする機会が少ないものですが、酒の瓶とラベルから中身に入ってゆくのではなく、時にポスターから入っていっても、普段とは何か違う発見があるかもしれませんよ?
・2014年に制作した、白馬錦「ひやおろし」ポスター
さて、こちらのポスターなんですが、どんなコンセプトで作られているでしょうか?
ちょっと想像しながら、今日の一献を傾けて頂ければと思います。
(SNSとは連動していません)
